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猫とともに歩む人生の物語「唯川恵:みちづれの猫」【読書感想文】

私は猫を飼ったことがありません。猫は気まぐれで自由奔放なイメージがあり、人間との距離感が難しいと思っていました。しかし、この本を読んで、猫と人間の絆の深さや温かさに触れ、猫に対する見方が変わりました。

【電子特別版】みちづれの猫 (集英社文庫)

この本は、猫と人間の関係を描いた7つの短編集です。どの物語も、猫が人生の転機や癒しを与えてくれる存在として、さまざまな女性たちのそばに現れます。猫は、離婚した女性、逆縁に打ちひしがれる女性、昔の恋人との再会に狼狽する女性など、心に傷を抱える者たちに、優しさや希望を与えてくれます。猫は、人間の心を見透かすように、必要なときに現れて、必要なときに去っていきます。猫は、人間の人生に寄り添ってくれる、みちづれの存在なのです。

私が特に感動したのは、「最期の伝言」という物語です。これは、父親の死に際して、母親から聞かされた衝撃的な事実と、父親が残した猫との関係を描いた物語です。父親は、手先が器用で、猫のぬいぐるみや猫の絵を描いていました。しかし、父親は、母親とは別の女性との間に子供をもうけていて、その子供は事故で亡くなっていたのです。母親は、父親の不貞を許していたのですが、その子供の死には耐えられず、離婚を決意しました。そのとき、父親は、母親に「最期の伝言」として、猫のぬいぐるみを渡しました。そのぬいぐるみは、亡くなった子供が飼っていた猫の姿を忠実に再現したものでした。父親は、その猫を引き取って、自分の部屋で飼っていたのです。父親は、猫を通して、亡くなった子供との絆を保とうとしていたのです。そして、父親は、猫とともに息を引き取りました。

この物語は、父親の罪と悲しみ、母親の寛容と潔さ、猫の忠誠と癒しを、感動的に描いています。父親は、不倫をしたことで家族を裏切りましたが、その一方で、愛した子供を失ったことで深い悔恨と哀しみに苛まれていました。母親は、父親の不倫を許していたことで家族を守ろうとしましたが、その一方で、子供の死には耐えられなかったことで自分の幸せを諦めていました。猫は、父親の心の支えとなり、母親に最期の伝言を届ける役割を果たしました。猫は、人間の複雑な感情や事情に関係なく、ただ純真に愛してくれる存在なのです。

この本を読んで、猫の魅力や存在意義に気づきました。猫は、人間の心を癒してくれるだけでなく、人間の人生を豊かにしてくれる動物なのです。猫とともに歩む人生は、寂しさや苦しさを乗り越える力になります。私は、猫を飼ってみたいと思いました。猫と一緒に、幸せな人生を送りたいと思いました。

以上が、私の感想です。この本は、猫と人間の関係を描いた7つの物語が収録されています。猫好きならずとも、心に響く作品です。ぜひ、読んでみてください。