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寺地はるな「水を縫う」-人生の流れと向き合う詩集【読書感想文】

寺地はるなさんの詩集「水を縫う」は、水のさまざまな姿や意味を詩的に表現した作品です。水は、生命の源、自然の力、時間の流れ、記憶の象徴など、多くのことを表しています。作者は、水と自分の人生との関係を探求し、水を縫うように自分の道を切り開こうとする姿勢を示しています。

水を縫う (集英社文庫)

この詩集は、2021年に第9回河合隼雄物語賞を受賞しました。河合隼雄物語賞は、人のこころを支えるような物語をつくり出した優れた文芸作品に与えられる賞です。選考委員の小川洋子さんは、この詩集について「平凡な日常を書き起こしながら、読者をエンカレッジする小説である」と評しています。作者の寺地はるなさんは、この受賞に対して「世の中にたくさんある偏見とか、こうでなくてはならない、と皆が思い込んできたものに、一つひとつ疑問を投げかけてみようと思って書きましたので、大変うれしく思います」とコメントしています。

詩集は、四つの章に分かれています。

第一章「水の音」では、水の音に耳を傾けることで、自分の内面や周囲の世界に気づくことを詩にしました。水の音は、心の動きや感情の変化を反映しています。例えば、「雨の日」では、雨の音に合わせて自分の孤独や不安を吐き出す様子が描かれています。一方、「波の音」では、波の音に癒されて自分の強さや希望を取り戻す様子が描かれています。

第二章「水の色」では、水の色に目を向けることで、自分の感性や美意識に触れることを詩にしました。水の色は、自分の心の状態や見る角度によって変わります。例えば、「水色の空」では、水色の空を見上げることで、自分の夢や願いを思い出す様子が描かれています。一方、「黒い水」では、黒い水を見つめることで、自分の恐れや苦しみに直面する様子が描かれています。

第三章「水の形」では、水の形に手を伸ばすことで、自分の存在や可能性に触れることを詩にしました。水の形は、自分の意志や行動によって変えられます。例えば、「水玉」では、水玉を作ることで、自分の個性や楽しみを表現する様子が描かれています。一方、「水滴」では、水滴を落とすことで、自分の影響や責任を感じる様子が描かれています。

第四章「水の向こう」では、水の向こうに目をやることで、自分の未来や運命に向き合うことを詩にしました。水の向こうは、自分の知らない世界や自分の望む世界を表しています。例えば、「水の鏡」では、水の鏡に映る自分の姿を見ることで、自分の本当の姿や願望を探る様子が描かれています。一方、「水の彼方」では、水の彼方にあるものを見ることで、自分の選択や決断をする様子が描かれています。

詩集「水を縫う」は、水というテーマを通して、人生の流れと向き合う詩人の姿を描いた作品です。水は、詩人の心の鏡であり、詩人の人生の道しるべであります。詩人は、水を縫うように、自分の人生を紡いでいきます。読者は、詩人の詩に共感したり、感動したり、考えさせられたりします。水という普遍的なものに、個人的なものを重ね合わせることで、詩集は、多くの人に訴えかける力を持っています。詩集「水を縫う」は、水と人生との関係を考えるきっかけを与えてくれる、素晴らしい作品です。