BOOK PICKS~おすすめ書籍と映像のレビュー~

お気に入りの書籍と映像作品をご紹介します

桜木紫乃『あのこは貴族』〜女性の生き方と友情を問い直す小説【読書感想文】

山内マリコさんの『あのこは貴族』は、映画化もされた話題の小説です。この小説は、東京の上流階級に生まれた華子と、地方から上京してきた美紀という二人の女性の出会いと交流を描いた物語です。この小説を読んで、私は現代の階級社会と女性の生き方について考えさせられました。

あのこは貴族 (集英社文庫)

階級社会の現実

この小説の舞台は、慶應義塾大学の法学部です。華子は、慶應の内部生として、幼い頃から裕福で教養ある環境で育ちました。彼女は、自分と同じような家柄や価値観の人たちとしか付き合わない、箱入り娘です。一方、美紀は、地方の公立高校から一般入試で慶應に合格した、努力家の庶民です。彼女は、自分の出自や知識にコンプレックスを抱きながら、華子たちとは違う世界を見てきました。

この二人は、偶然にも同じゼミに所属することになります。しかし、華子は美紀を見下し、美紀は華子を妬みます。彼女たちは、互いに理解しようとせず、距離を置きます。しかし、華子の婚約者である幸一郎が、美紀に興味を持ち始めると、事態は変わります。幸一郎は、華子とは違って、地方出身で自分で稼いだお金で慶應に入った、自立した男性です。彼は、美紀の持つバイタリティや庶民的な感性に惹かれます。一方、華子は、幸一郎の美紀への関心に気づき、自分の置かれた立場に不安を感じます。

この小説は、華子と美紀の対立と和解を通して、日本に存在する階級社会の現実を浮き彫りにします。華子たちのような貴族的な人々は、自分たちの世界に閉じこもり、他の階層の人々との交流を避けます。彼らは、自分たちの特権や常識を当たり前だと思い込み、それを疑わないか、あるいは隠そうとします。一方、美紀たちのような庶民的な人々は、自分たちの世界に満足せず、他の階層の人々との交流を求めます。彼らは、自分たちの劣等感や不満を抱えながら、それを克服しようとします。

そして、階級社会の中で生きる女性の苦悩や葛藤を描きます。華子は、自分の家柄や教育に見合った結婚をすることが、自分の幸せだと思っていました。しかし、幸一郎との関係に亀裂が入り、自分の選択に疑問を持ち始めます。彼女は、自分の本当の気持ちや望みを見つけることができるのでしょうか。美紀は、自分の努力や能力に見合った評価を得ることが、自分の幸せだと思っていました。しかし、幸一郎との関係に揺れ動き、自分の立場に苦しみます。彼女は、自分の本当の価値や居場所を見つけることができるのでしょうか。

女性の生き方と友情

華子と美紀の対立だけでなく、彼女たちの友情も描きます。華子と美紀は、最初は反発し合いますが、次第に互いに理解し、支え合うようになります。彼女たちは、自分たちの違いを認め合い、それを尊重し、学びます。彼女たちは、自分たちの生き方を見直し、変えていきます。彼女たちは、自分たちの幸せを探し、追いかけます。

そして、女性の生き方と友情を問い直します。華子と美紀は、社会に、そして男性に、分断される女性です。彼女たちは、自分の階級や地域や年齢や結婚状況などによって、ラベル付けされ、差別され、孤立させられます。しかし、彼女たちは、他の女性との絆によって、救われます。彼女たちは、他の女性との共感や励ましや助け合いによって、強くなります。彼女たちは、他の女性との友情によって、幸せになります。

女性の生き方と友情について、私たちに考えさせます。私たちは、自分の階級や地域や年齢や結婚状況などによって、社会に、そして男性に、分断される女性ではないでしょうか。私たちは、自分の劣等感や不満や不安によって、他の女性との絆を断ち切る女性ではないでしょうか。私たちは、自分の幸せや価値や居場所を見失う女性ではないでしょうか。私たちは、他の女性との友情を大切にする女性ではないでしょうか。

まとめ

山内マリコさんの『あのこは貴族』は、現代の階級社会と女性の生き方についての小説です。この小説を読んで、私は、自分の世界や価値観に囚われず、他の人々との交流や理解を深めることの大切さを感じました。また、自分の生き方や幸せについて、自分で決めることの勇気と、他の女性との友情を大切にすることの素晴らしさを感じました。女性である私にとって、とても刺激的で感動的で、心に残る作品でした。