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きょうの日はさようなら、三十年前の女子高生とのひと夏の思い出【読書感想文】

一穂ミチさんの「きょうの日はさようなら」は、2025年の夏に突然現れた30年前の女子高生との交流を描いた物語です。

きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)

主人公の明日子と日々人は、双子の高校生で、父親から知らされた従姉妹の今日子と一緒に暮らすことになります。しかし、今日子は冷凍睡眠から目覚めたばかりで、1995年の時代から飛んできたのです。明日子と日々人は、今日子とのギャップに戸惑いながらも、彼女の明るさや素直さに触れて、自分たちの生き方や人間関係を見つめ直していきます。

この作品のタイトルは、今日子が好きな歌の一節から取られています。この歌は、別れを惜しむ恋人たちの切ない気持ちを表していますが、同時に、今日という日を大切にするというメッセージも含んでいます。今日子は、自分の時代に戻ることができるのか、それともこのままこの時代で生きていくのか、という不安を抱えながらも、明日子たちとの日々を楽しみます。明日子たちも、今日子との出会いによって、自分たちの日常に新しい風を感じます。この作品は、時間や世代を超えた友情や愛情を描いており、読者にも今日という日を大切にすることを教えてくれます。

私は、この作品の中で特に印象に残った場面があります。それは、今日子が明日子たちに自分の時代の話をする場面です。今日子は、自分が好きだった漫画やアニメ、音楽やファッションなどを熱く語りますが、明日子たちにはほとんどわかりません。しかし、今日子はそれを気にせず、自分の感想や思い出を楽しそうに話します。明日子たちも、今日子の話に興味を持ち、質問したり感想を言ったりします。この場面は、時代の違いによるギャップをコミカルに描いていると同時に、共感や理解を求める人間の心を感じさせてくれます。私は、この場面を読んで、自分の好きなものについて語ることの楽しさや、他人の好きなものについて聞くことの大切さを学びました。

この作品は、現代の高校生と過去の女子高生との交流を通して、人生や恋愛、家族や友情などのテーマを扱っています。登場人物たちは、それぞれに悩みや葛藤を抱えていますが、今日子との出会いによって、少しずつ成長していきます。この作品は、読んでいて心が温かくなるような作品であり、私はとても感動しました。この作品を読んで、自分の日常にもっと目を向けたり、自分の感情に正直になったり、人との繋がりを大切にしたりすることを考えさせられました。この作品を読んで、きっとあなたも今日という日に感謝したくなるはずです。