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『できない男』を読んで、自分のできないことに向き合う勇気をもらった【読書感想文】

今回は、額賀澪さんの小説『できない男』について、読んだ感想を書きたいと思います。

できない男 (集英社文庫)

この本は、2020年3月に集英社から刊行された、アラサー男子が主人公のお仕事小説です。私は、この本のタイトルと表紙に惹かれて、読んでみることにしました。タイトルの『できない男』とは、どんな男なのか? そして、私は自分のできないことにどう向き合っているのか? そんなことを考えながら、この本を読み進めました。

物語の主人公は、芳野荘介という28歳のデザイナーです。彼は、東京から二時間の地方都市で、小さな広告会社に勤めています。恋愛経験ゼロ、青春時代を日陰で過ごした彼は、仕事にも恋愛にも自信が持てない「できない男」です。そんな彼が、ある日、地元の農業テーマパークのブランディングプロジェクトに参加することになります。そのプロジェクトを取り仕切るのは、東京の大手デザイン会社の南波仁志という超一流のクリエイターです。南波の右腕であるアートディレクターの河合裕紀も、33歳という年齢ながら、独立や結婚など、その先の人生へと踏み出す覚悟ができない「できない男」です。山と田圃しかない夜越町で出会った、対照的な二人の「できない男」。それぞれが抱えるダメさと格闘しながら、互いに成長していく姿が描かれています。

この本の魅力は、何といっても、登場人物たちのリアルな感情や葛藤です。芳野や河合は、自分のできないことにコンプレックスを抱きながらも、仕事に対する情熱やプライドを持っています。彼らは、南波やクライアントからの無茶振りにも、徹夜や休日出勤をしても、最善のデザインを提案しようとします。その過程で、彼らは、自分の才能や可能性に気づき、仲間や恋人との絆を深めていきます。彼らの成長は、読んでいる私にも勇気や希望を与えてくれました。私も、自分のできないことに目を背けず、チャレンジしてみようと思いました。

また、広告業界の裏側や、農業テーマパークの企画や制作の過程など、興味深い情報も満載です。額賀さんは、自身も広告代理店で働いた経験があるそうで、そのリアリティが伝わってきます。私は、広告やデザインに関する知識がほとんどなかったのですが、この本を読んで、その世界に触れることができました。特に、農業テーマパークのロゴやキャラクター、パンフレットなどのデザインの説明は、とてもわかりやすくて、目に浮かぶようでした。この本を読んだ後に、実際にそのテーマパークに行ってみたいと思いました。

この本は、青春小説というよりは、大人による大人のための青春小説と言えるかもしれません。登場人物たちは、すでに社会人として働いているので、学生時代のような甘酸っぱい恋愛や友情だけではなく、仕事や家族、結婚など、もっと複雑で深い問題に直面しています。しかし、彼らは、それでもなお、自分の夢や理想を追い求め、自分の人生を切り開こうとします。その姿は、青春の本質を表していると思いました。私は、この本を読んで、自分のできないことに向き合う勇気をもらいました。そして、自分のできることに感謝する気持ちも持ちました。この本を読んで、あなたも自分のできないことにチャレンジしてみませんか?