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部活に打ち込む高校生たちの青春を描いた壁井ユカコの『空への助走』を読んで【読書感想文】

今回は、壁井ユカコさんの『空への助走 福蜂工業高校運動部』(集英社文庫)を読んだ感想を書きたいと思います。

空への助走 福蜂工業高校運動部 (集英社文庫)

この本は、福蜂工業高校のバレー部、陸上部、柔道部、釣り部などの部活に所属する高校生たちの青春を描いた連作短編集です。壁井ユカコさんは、『2.43 清陰高校男子バレー部』でスポーツ小説の新境地を切り開いた作家さんですが、この本では、さまざまな競技や部活の魅力を紹介しながら、高校生たちの友情や恋、葛藤や成長を感動的に描いています。

私が特に印象に残ったのは、表題作の「空への助走」です。この作品は、陸上部を引退したばかりの涼佳と、走り高跳びに打ち込む後輩の柳町の恋物語です。涼佳は、東京の大学に通う元陸上部の先輩への片思いを抱えていましたが、柳町の真摯な姿勢や努力に触れるうちに、少しずつ心が揺れ動いていきます。柳町は、涼佳のことをずっと好きだったのですが、自分の気持ちを押し付けることなく、涼佳のペースに合わせて接してくれます。二人の距離が縮まっていく過程がとても自然で、微笑ましくて、胸がキュンとなりました。

この作品の中で、私が一番好きなシーンは、柳町が涼佳にプレゼントした写真集のシーンです。柳町は、涼佳が陸上部で活躍していた頃の写真を集めて、自分で写真集を作りました。その写真集には、涼佳の走る姿や笑顔や涙など、柳町の愛情が詰まっています。涼佳は、その写真集を見て、自分の陸上部での思い出や、柳町の気持ちに気づきます。涼佳が写真集を見ながら泣いているシーンは、とても感動的でした。

この本には、他にも、バレー部のエース争いに敗れた高杉と、テニス部の美人エース赤緒の友情と恋の話や、柔道部の主将長谷が釣り部に入部して新たな挑戦をする話など、部活に真剣に取り組む高校生たちの姿が描かれています。それぞれの登場人物が、自分の夢や目標に向かって努力したり、仲間や恋人と支え合ったり、失敗や挫折を乗り越えたりする様子が、とても鮮やかで、熱いです。部活に打ち込む高校生たちの青春は、読んでいるだけで元気になれるし、勇気づけられるし、感動します。

壁井ユカコさんの『空への助走 福蜂工業高校運動部』は、部活に打ち込む高校生たちの青春を描いた素敵な本です。部活をやっている人も、やっていない人も、やっていた人も、楽しめると思います。この本を読んで、部活の魅力や、高校生活の楽しさや、恋の甘酸っぱさや、人生の大切さを感じてみてください。きっと、あなたの心に何かが届くはずです。