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『桃源』黒川博行の新シリーズは正統派警察小説の傑作!【読書感想文】

今回は、黒川博行さんの最新作『桃源』を読んだ感想をお伝えします。

黒川博行さんといえば、『疫病神』シリーズや『後妻業』など、ヤクザや探偵などひと癖もふた癖もあるキャラクターが活躍する小説で有名ですが、今回の『桃源』は、正統派警察小説として書かれた新シリーズの第一弾です。

桃源 (集英社文庫)

主人公は、大阪府警泉尾署刑事課捜査二係の新垣遼太郎と上坂勤のコンビ。新垣は沖縄出身で色男、上坂は映画オタクで食いしん坊という、対照的な性格の二人ですが、捜査には真面目で熱心です。

二人が追う事件は、沖縄の互助組織「模合」で集めた仲間の金六百万円を持ち逃げした男・比嘉の行方です。情報をつかんで沖縄に飛んだ二人が辿り着いたのは、南西諸島近海に沈む中国船から美術品を引き上げるという大掛かりなトレジャーハントへの出資詐欺でした。

このトレジャーハント詐欺は、実際に起きた事件をモデルにしているそうです。黒川さんは、この事件に関する取材や資料を丹念に調べて、小説に反映させています。そのため、事件の背景や仕組み、関係者の思惑などが非常にリアルに描かれています。

また、沖縄の風土や文化、歴史、方言なども細かく描写されています。特に、沖縄出身者の間で続く「模合」という制度は、本土ではあまり知られていないかもしれませんが、沖縄の人々の生活や絆に深く関わるものです。この小説を読むことで、沖縄の魅力や問題点にも触れることができます。

もちろん、黒川さんの小説の醍醐味である、登場人物の会話やキャラクターも楽しめます。新垣と上坂のコンビは、捜査の合間に映画の話や食事の話をしたり、お互いにからかったりしながら、仲良く協力して事件を解決していきます。二人の掛け合いは、笑いあり、感動あり、スリルありで、読者を飽きさせません。

『桃源』は、黒川博行さんの新たな挑戦として書かれた正統派警察小説ですが、それだけでなく、沖縄の魅力やトレジャーハント詐欺の実態など、興味深いテーマを盛り込んだ傑作です。新しいコンビの今後の活躍にも期待したいですね。

以上、『桃源』の感想でした。黒川博行さんのファンの方はもちろん、警察小説や沖縄に興味のある方にもおすすめの一冊です。ぜひ読んでみてください。