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『ホーム』――野球という境界線を越えて【読書感想文】

堂場瞬一さんの小説『ホーム』は、東京オリンピックの野球アメリカ代表監督になった元日本人大リーガーの藤原雄大と、彼がスカウトした日米の二重国籍を持つ天才スラッガーの芦田大介の物語である。

ホーム (集英社文庫)

この作品は、堂場さんのデビュー作である『8年』の続編としても読むことができる。『8年』では、オリンピックで敗北を味わった藤原が、8年のブランクを経てメジャーリーグに挑戦する姿が描かれた。『ホーム』では、その後の藤原の人生と、彼が出会った新たな挑戦が描かれる。

この作品のテーマは、野球という境界線を越えていく人々の心の動きであると感じた。藤原は、日本とアメリカ、アマチュアとプロという境界線を越えてきたが、今度はアメリカの代表監督として日本に戻ってくる。
彼は、自分の故郷と対戦することになるが、それは彼にとってどういう意味を持つのだろうか。芦田は、日本とアメリカの二つの国籍を持っているが、それは彼にとってどういう意味を持つのだろうか。
彼は、自分の居場所を見つけるために、どちらかを選ばなければならないのだろうか。藤原と芦田は、野球という共通の言語を通して、互いに影響を与えながら、自分の答えを探していく。

この作品は、野球の試合の描写も迫力があって楽しめたが、それ以上に登場人物たちの人間ドラマに引き込まれた。藤原は、自分の野球人生を振り返りながら、自分の信念を貫こうとする。
芦田は、自分の才能と苦悩を抱えながら、自分の道を切り開こうとする。彼らの周りには、彼らを支えたり、対立したり、葛藤したりする人々がいる。
特に、藤原のかつてのライバルであり友人であるヘルナンデスや、藤原の監督だった河合との関係は、『8年』からのファンにとっては感慨深いものがあった。彼らは、藤原にとって大きな存在であり、彼の選択に影響を与える。

この作品は、オリンピックという大きな舞台を背景にしながら、個人の人生と野球との関わり方を描いている。野球という境界線を越えていく人々の姿は、読者にとっても共感や感動を呼ぶものだと思う。この作品を読んで、野球というスポーツの魅力や、人間という存在の複雑さや素晴らしさを感じた。