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『七つの会議』は会社の闇を暴く小説ではない!池井戸潤が描く人間ドラマの魅力【読書感想文】

今回は、池井戸潤さんの小説『七つの会議』について感想を書きたいと思います。この作品は、2019年に野村萬斎さん主演で映画化されたことでも話題になりましたが、私は原作の小説を読みました。

七つの会議

この小説は、中堅電機メーカーの不祥事に巻き込まれていく社員たちの姿を描いた群像劇です。タイトルの「七つの会議」とは、物語の中で行われる様々な会議のことで、それぞれが事件の真相に関わっていきます。この小説を読んで感じたことは、以下の3点です。

  1. 会社とは何か、仕事とは何か
    この小説の登場人物たちは、会社という組織の中で働く人間として、様々な葛藤や苦悩を抱えています。例えば、主人公の一人である原島課長は、不正を告発した八角係長の後任として、会社の秘密に気づいてしまいます。しかし、その秘密を暴くことは、自分のキャリアや家族の生活にも影響を及ぼすことになります。原島は、会社のために働くことと、正義のために働くことの間で揺れ動きます。また、八角係長は、パワハラを受けたことを理由に、会社に対して反発します。しかし、その反発は、自分の仕事への責任感やプライドを失っていることの裏返しでもあります。八角は、自分が会社にとって何の役にも立たない存在だと思い込んでいます。このように、この小説では、会社という組織の中で働くことの意味や価値について、深く考えさせられます。
  2. 人間関係の重要性と複雑さ
    この小説では、会社の中だけでなく、家族や友人など、人間関係の重要性と複雑さも描かれています。例えば、原島課長は、妻との関係が冷え切っており、仕事にもやりがいを感じられない状態です。しかし、八角係長の妻との出会いをきっかけに、自分の家族や仕事に対する気持ちを見つめ直します。また、浜本優衣は、不倫相手に振られて退職を決意しますが、親友の力を借りて、社内に無人ドーナツ販売の設置に挑戦します。この挑戦は、自分の仕事に対する最後の思い出となります。このように、この小説では、人間関係が人生に与える影響や変化を感じさせられます。
  3. 現実とフィクションの境界
    この小説は、フィクションでありながら、現実に起こり得るような事件を描いています。実際に、近年では、大手企業の不正や隠蔽が社会問題となっています。この小説では、不正や隠蔽の背景にある人間の欲望や利益、権力や圧力などがリアルに描かれています。また、不正や隠蔽に関わった人間の運命や罪の重さも、容赦なく描かれています。この小説を読むと、現実とフィクションの境界が曖昧になり、自分が同じ状況に置かれたらどうするかと考えてしまいます。

以上が、私が『七つの会議』を読んで感じたことです。この小説は、池井戸潤さんの代表作の一つであり、映画化やドラマ化もされています。私は、小説の方が映像よりも深く物語に入り込めると思いますが、映像も見てみたいと思います。この小説は、仕事や人生について考えさせられる作品です。会社勤めをしている人はもちろん、そうでない人にもおすすめです。ぜひ、読んでみてください。