この本は、食べることの本当の幸せを教えてくれる、最高のごはん小説です。ダイニングカフェの新規開店に向け、看板メニューのカレー開発に励む璃空。一方で、妻の杏南はワンオペ育児で疲弊していて……(「スパイスの沼」)。若きパン職人・照星は、小麦アレルギーでパンを食べられない子供と出会う。それなら小麦不使用の超絶うまい米粉パンを俺が作る!と決意するが……(「ハッピバースデー・トゥー・ユー」)。など、様々な人々の食と人生の物語が織りなされます。
この本の魅力は、登場人物たちの料理や食事の描写がとても美味しそうで、読んでいるだけで幸せな気分になれることです。作者の行成薫さんは、食に関する知識や経験が豊富で、それが物語に生かされています。例えば、カレーのスパイスの種類や効能、米粉パンの作り方や保存方法、かつ丼の卵の焼き加減など、細かいところまで丁寧に説明されています。また、登場人物たちの感情や思いも、食を通して表現されています。食べることで元気になったり、笑顔になったり、感謝したり、仲良くなったり、愛を伝えたり……。食べることは、ただお腹を満たすだけではなく、人と人とのつながりや幸せを生み出すことができるのだと、この本は教えてくれます。
私は、この本を読んで、食べることの大切さや楽しさを改めて感じました。食べることは、生きることの基本であり、喜びでもあります。この本を読んだら、きっとあなたも、できたてのごはんを誰かに食べさせたくなるかもしれません。それでは、また次回。