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嘘つきなレディ 五月祭の求婚 〜秘密と恋のヴィクトリア朝ロマンス〜【読書感想文】

白川紺子さんの「嘘つきなレディ 五月祭の求婚」は、2012年にコバルト文庫から発売された、ヴィクトリア朝を舞台にしたファンタジックなラブストーリーです。2015年には集英社文庫から新装版が出版されました。この作品は、2012年度ロマン大賞を受賞した白川紺子さんのデビュー作です。

嘘つきなレディ 五月祭の求婚 (集英社文庫)

物語の主人公は、メアリ・ハートレイという伯爵令嬢です。しかし、彼女は本当の伯爵令嬢ではありません。赤ん坊の頃に乳母に誘拐され、貧しい下町で花売り娘として育ったのです。12歳のときに、牧師の手引きでハートレイ伯爵家に戻りましたが、そのときに死んだはずの本物のメアリの代わりになるように言われました。それから4年間、メアリは嘘つきなレディとして、伯爵家の令嬢として生きてきました。しかし、彼女は自分の正体がバレるのではないかと常に不安にさいなまれていました。

そんなある日、メアリは美貌の青年貴族、アレクサンダー・ハミルトン伯爵と出会います。彼はメアリの秘密を知っていると言って、彼女に奇妙な頼み事をします。それは、五月祭の日に彼の求婚を受けるということでした。彼はメアリに恋をしているのではなく、ある目的のために彼女を利用しようとしているのです。しかし、メアリは彼の頼みを断れません。なぜなら、彼はメアリの秘密だけでなく、もう一つの秘密を握っていたのです。それは、メアリが不思議な力を持っているということでした。

メアリは自分の力を使うことができませんでしたが、彼女は生まれながらにして「魔法の力」を持っていたのです。それは、人の心を読んだり、物事を変えたりすることができる力でした。しかし、メアリはその力を恐れていました。なぜなら、その力が原因で、彼女は幼い頃に大切な人を失ったのです。

アレクサンダーはメアリの力を利用して、自分の目的を達成しようとします。彼の目的は、自分の家族にかけられた呪いを解くことでした。彼の家族は、代々「狼男」になってしまうという呪いに苦しんでいました。アレクサンダーは、メアリの力で呪いを解く方法を見つけることができると信じていました。しかし、彼はメアリにそのことを隠していました。

メアリはアレクサンダーの求婚を受けることになりますが、彼に心を開くことはできませんでした。彼女は彼が自分を本当に愛しているのか疑っていました。また、彼女は自分の正体や力がバレたら、彼に捨てられるのではないかと恐れていました。しかし、メアリはアレクサンダーに惹かれていくことを否定できませんでした。彼はメアリに優しく接し、彼女の力を受け入れてくれました。彼はメアリにとって、初めて心を許せる人だったのです。

二人の関係は次第に深まっていきますが、それは同時に危険にもさらされていきます。メアリの正体を知る者が現れたり、アレクサンダーの家族の呪いが暴走したりするなど、様々な困難が二人を襲います。二人はそれらを乗り越えることができるのでしょうか?そして、二人の恋は本物なのでしょうか?

「嘘つきなレディ 五月祭の求婚」は、秘密と恋のヴィクトリア朝ロマンスです。白川紺子さんの筆力は素晴らしく、登場人物の感情や背景、時代背景などを丁寧に描いています。また、ファンタジーの要素も巧みに織り込まれており、読者を惹きつけます。メアリとアレクサンダーの恋は切なくも甘くもあり、二人の成長や絆を感じることができます。この作品は、ロマンス好きならぜひ読んでほしい一冊です。