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『猫君』レビュー:畠中恵が贈るお江戸ファンタジーの魅力とは?【読書感想文】

今回は、『しゃばけ』の著者である畠中恵さんの最新作『猫君』を読んでみました。この本は、江戸時代に生きる猫又たちの物語です。
猫又とは、二十年以上生きた猫が人に化けて言葉を操る妖怪のことです。主人公のみかんは、吉原の遊郭で育った茶虎で金目銀目の猫ですが、猫又になりかかっていることを知らされます。
先輩猫又の加久楽に助けられたみかんは、江戸城内にある新米猫又の学び舎「猫宿」に入ることになります。そこで、仲間と共に数々の試練に挑みながら、一人前の猫又を目指していきます。

この本の魅力は、何といっても畠中恵さんの独創的な世界観とキャラクター造形です。猫又たちは、人間とは違う価値観や文化を持っており、その違いが面白いコントラストを生み出しています。
例えば、猫又たちは、自分の尾の数や色、陣地や里の所属などで自分の身分や立場を誇示します。また、猫又たちは、自分たちの歴史を「猫又史」として学び、その中には「猫君」という英雄が登場します。
猫君は、猫又たちの危機を救った伝説の存在で、みかんはその再来ではないかと噂されます。猫君の正体や役割は、物語の中で徐々に明らかになっていきますが、その展開は読者を飽きさせません。

もちろん、猫又たちだけでなく、人間のキャラクターも魅力的です。特に、徳川家康の子孫である信長という人物は、猫又たちにとって重要な存在です。
信長は、猫又たちを庇護し、猫宿の長として教育にあたります。しかし、信長は、人間としての立場や責任と、猫又としての自由や感情との間で葛藤しています。信長の心情や運命は、物語の中で重要な役割を果たします。

『猫君』は、畠中恵さんが贈るお江戸ファンタジーの傑作です。猫又たちの魅力的な世界と、人間との交流や冒険を楽しみながら、猫君の謎に迫っていきましょう。この本は、集英社文庫から発売されています。ぜひ、手に取ってみてください。